イーストの分類と天然酵母とは

◎ 原材料

 

○ イースト 06/09/2017

イーストの分類と天然酵母とは

 

ここでは先に「イーストという言葉」の項目をお読みになることをお薦めします。本文中、ややこしくなりますので。
また、イーストの分類において各自の意見の分かれるところであり、以下は、個人的な分類であって私がそう思っているとという解釈でお願いします。

パンの発酵源は、2タイプあります。
1、イースト パン用に適した酵母を工業的に純粋培養したもの
2、自然種 上記以外

イーストは、3タイプあります。
生イースト、ドライイースト、インスタンドライイーストも3つです。(イーストの3つの種類を参照に)

自然種と天然酵母の違い
自然種と天然酵母の違いは何でしょうか。
この違いがよくわからない人が多く、混乱する元になっています。
自然種は上記した通り、「パン用に適した酵母を工業的に純粋培養したもの以外の酵母」で、全ての人の共通認識です。(これが重要)
天然酵母は決まったが定義なく、人によって解釈が違います。
定義があるとすれば、「パンに適した酵母を工業的に純粋培養したもの以外の酵母」です。
あれ? 自然種と同じではないか、と思わるでしょう。それが違うのです。

天然酵母は、「決まった定義がない」ということがあり、それを逆手にとったように商業的にパンの原材料使用欄に「天然酵母」と書かれていても、それは違反だからと文句がいえないのです。(100%生イーストで、天然酵母としているのは問題外です)
それを「自然種」と書かれていれば、問題になります。
日本政府が自然種を正式な定義として、提示しているわけではないので違反となって、罰せられることはないでしょうけど、全ての共通認識であることと違うことをすれば、さすがにおかしいということになります。

なぜ、天然酵母が人によって解釈が違うのか?
それは後記するとして、まずは天然酵母パンの作り方と特徴、天然酵母の種類を説明します。

天然酵母パンの作り方と特徴
天然酵母パンは、まず、パン種(発酵源)を作ります。
パン種は、穀物、野菜、果実に付着している野生の酵母に小麦粉と水を加えて、製パンが可能なガス発生力のある酵母を培養したものです。
使用したパンは、パン種の他に乳酸菌に多種多様な菌、微生物が増殖して、通常のパンでは真似できない独特な味、風味、食感があります。

天然酵母の種類
天然酵母は、パン種を作る材料によって、名称があります。
○サワー種 穀物の粉(主にライ麦粉あるいは小麦粉)と水
○ホッポス種 ホップの煮汁を中心として、じゃがいも、小麦粉、りんごなど
○酒種 麹、米、水
○果実種 野菜と果実
○ルヴァン種 以下に説明

ルヴァン(仏語)は、フランス語で「発酵種」という意味で、主に小麦粉、ライ麦粉、水を合わせて作っています。
パン生地のようですが、中種法とはまた違います。
中種法は、中種という生地を作って、本捏のときに足して、追い種(追加するイースト)も加えて作る製法です。
ルヴァン種は、生地のようであっても、あくまでも「パン種」扱いで基本的に他にパン種を足さないという特徴があります。
ついでにいうと、老麺法とも違います。
老麺法は、直捏法、中種法にかかわらず、すでに完成された生地を足して作る製法です。(完成された生地は、リーンな生地か同じ生地で10~20%)生地は、安定感(生地耐性)などが出ます。

天然酵母パンの作り方の種類
1、自家培養された天然酵母
2、市販されている天然酵母
3、純粋培養された天然酵母
4、天然酵母とイーストの併用

1)自家培養された天然酵母は、各自(個人、パン屋)が材料を使って、一からパン種を作ったもので誰もが納得の天然酵母パンになります。
2)市販された天然酵母は、2タイプあります。(A、Bタイプとする)
Aタイプ)1の工程を会社が工場で管理しながら作り、粉末状にして販売する。
使いたい人(パン屋)は、水またはぬるま湯で戻して、一日以上かけて酵母を作り、製パンに使用する。(代表的なものにホシノ天然酵母)
Bタイプ)米粉、発芽玄米粉、米麹、酵母、乳酸菌、モルトエキスを材料として天然酵母を作る。使いたい人(パン屋)は、仕込み時にそのまま添加可能。(発芽玄米パン酵母種R-50)
3、分離・選抜した酵母を通常のイーストと同様な方法で工業的に純粋培養した酵母(白神こだま酵母)
4、1~3のパン種を通常のイーストとの併用。3タイプあります。(A、B、Cタイプとする)
Aタイプ)個人、パン屋の判断による併用
Bタイプ)市販の天然酵母ですでに併用している
Cタイプ)酵母のメーカーの使用法による併用

注意点として、2ーBタイプの発芽玄米パン酵母種R-50のメーカーであるアサヒ酵母株式会社は、公式サイトで、自社のこの商品を「天然酵母」として明記していません。3の白神こだま酵母の秋田十条化成(株)も同様です。両社ともに天然酵母である、ないの議論は避けています。
これらの酵母を使用したパンを「天然酵母パン」としているのは、パンの製造・販売元での判断です。

参考までにもうひとつ。
全国的な有名パン屋、メゾンカイザーでは、天然酵母を管理して作る機械「ルヴァン フェルメント」を使い、「ルヴァン リキッド」と呼ばれる液体の天然酵母を使用してパンが作られています。また、天然酵母を作る機械は、一般でも販売されています。
一例として↓があります。
http://www.aicohsha.co.jp/1/?page_id=1757 (愛工舎製作所)

明らかに天然酵母ではない事例
○一例ですが、オリエンタル工業酵母工業株式会社は発酵風味液を販売しています。
使用すると、乳酸菌による効果で天然酵母パンのような風味付けができます。
http://www.oyc.co.jp/business/food_product.html#02
味、食感は関係なく、風味付けするだけです。
使用するのは個人の自由ですが、パン屋で天然酵母パンとするのはどうか。
○商業的に「天然酵母パンにしたい」という目的のみで、天然酵母パンの特徴をまったく表していないパン。
例として、メインが生イースト(ドライイースト)で、天然酵母を確かに使用しているがごくわずか。
あと、これはどう思われるでしょうか。
実際に少しは天然酵母を使用しているが、誰がどう食べても天然酵母使用の特徴をほとんど示していないパン。

天然酵母の見解
上記を読むと、天然酵母のややこしさがおわかりになるでしょうか。
個人によって、天然酵母の見解が違います。
○〔天然酵母の作り方の種類〕で1、のみだけを認める。
○ホシノ天然酵母のパン、メゾンカイザーのパンを天然酵母パンではない。(機械使用のため)
○天然酵母と生イースト、ドライイーストとの併用は、一切認めない。
○発芽玄米パン酵母種R-50、白神こだま酵母を天然酵母として、認めない。
○天然酵母パンの特徴が出ていれば、どんな天然酵母であれ認める。
など、いろいろな意見があります。(その人、個人の見解です)

個人的には、生イースト、ドライイーストで表現できない天然酵母のパンの特徴が、味、風味、食感がセットで明らかに認識できれば、それでもうOKで、明らかに商業的で、売れると思って名前だけ利用しているようなものは×です。

 

 

 

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