珍パン こだわりのパン

◎ エッセイ

 

○ パン  04/17/2017

珍パン

 

1995年頃、全国的に「そばめし」が流行りました。
そば飯は、鉄板で焼きそばとご飯をソースで絡めたものです。
神戸市長田区が発祥だとされていて、
当時、興味本位で食べた方は多いかもしれません。

パン屋では、食べ物の流行りものと聞けば、
何でも取り入れようとするところがあり、
当時、私の店でも「そばめしパン」を作りました。
ドッグ形のパンに縦一文字の切れ目を入れて、そばめしを入れたものです。
キャッチフレーズは、「炭水化物三重奏、おいしいから食べてみて!」
あまり売れなかったなぁ。
流行の食べ物を取り入れても、何でも売れるものではないです。

パン屋の経営者たちが集まる会合が数ヶ月に1回ありまして、
そのときに、「笑いの取れるパン」があると言うので聞いてみると、
「キムタクパン」
パンにキムチとたくあんが挟んであって、
ご丁寧に、木村拓哉さんの写真がパンの名札の下に貼ってあるんです。
「みんな笑ってたなぁ、あはは。あまり売れんかったけどな!」
大阪人らしい発想でしょう。
遊び心で、たまにはこういうのも面白いです。
でも、ファンにひんしゅくを買って、すぐに止めたらしいですけどね。

 

○ パン 04/17/2017

こだわりのパン

 

先日、知人のパン屋の経営者の方と話をしてきました。
その人は、製パンの腕前一流、人柄も良い人です。
内容は、 パンには「こだわり」が必要。
「こだわりは、思いやりであって、商業的になってはいけない。
思いやりや魂がこもっていて、このパンを食べたら、
笑顔でおいしいと言ってくれるだろうな、
そう作る側が思えるかどうかで、なんとなく作業的に作るパンはダメなんだ」
話を聞いていると、そうだ「こだわりのパン」を作るぞ、と思えてきました。

後日、また別のパン屋経営者の人と話をしていたときのこと。
そこでは、塗り玉に「ヨード卵・光」を使っているという。
「普通の卵と違いはあるのですか?」
「この方が、ツヤはきれいだし、パンの栄養価も高くなる」
ツヤがきれいになるとは、信じられない。
栄養価が高くなるのはわかるが、塗り玉に使う量で大げさではないか。
「こだわり」だという。こだわりには、どうも反論できない。
主観的なのです。客観的ではない。こだわりだと、なんとでも言える。
やっかいなのは、「こだわり」の言葉自体が世間でもてはやされていること。
こだわりの言葉ではなく、中身がどうなのか、もっと考慮すべきです。

また後日、自分で「ヨード卵・光」の塗り玉を試してみましたが、普通の卵と変わらなかった。
「こだわり」はこだわった人が、こだわっていると自己主張で、一人歩きします。

前述したパン屋ですが、「パンにヨード卵・光を使用しています」と書いてあった。
生地には普通の鶏卵を使って、塗り玉に使用で……詐欺?

こだわりは、昔は、「些細なことを気にして、自由に考えることができなくなる。
気にしなくてもいいことを気にする」という悪い意味でしたが、
現在は、「手間がかかる軽視するようなことでも重視して、きちんとする」という意味でもある。

「ヨード卵・光」の塗り玉は、こだわりの良い言葉のイメージを利用しただけではないか。
私は、「こだわり」が出てきたとき、その意味を考えるようにしていますが、
世間であまりにも溢れていて、こだわりを考えると疲れてしまう。

 

 

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