変則的なパン 焼き立てのクリームパン

◎ パンの作り方

 

○ エッセイ  04/14/2017

変則的なパン

 

サイトで「パン」と検索してみていると、なかには、
「なんじゃこりゃー!」と、松田優作のように叫んでしまうことがあります。
電子レンジや炊飯器を使って作ったパンや、1時間以内でできるパン?
ありえねー。

と言いつつも良いじゃないですか。
パンを身近に感じて、楽しさを味わってもらえれば。
焼き立てのパンはおいしいですねー。本当においしい。
食べたこと、ありますか?
電子レンジやオーブントースターで温め直したのとは全然違いますよ。
パン屋で買う機会がなければ、自分で作るしかない。
自分で作って、パンが出来て、焼き立てを食べたときは感動します。

パン生地って本当に膨らむんだって、そこからまず始まり、
オーブンに入れて、また膨らんで、黄金褐色の焼き色!  パンの焼けた香り!
たまりません。

一度に食べてはもったないからと、明日また食べようと少し残しておく。
朝、食べたときに驚いた。かたーい。味も落ちてる……。
なんでなの?
少し調べてみたら、速成法のパンは日持ちしないとある。
そっかぁ。
焼き立てで食べる分だけのパンを作るか、日持ちをするパンを新たに作るか。
悩むなぁ。

という具合になれば、変則的なパンも良いものだとわかります。
入り口はお手軽でもなんでも始めてみることが大切なんです。

 

○ パン  04/14/2017

焼き立てのクリームパン

 

朝7時15分。いつものお客様が来られた。
身長180cm近く、顔は幾重の皺を重ねた白髪の70歳近いであろう御老人。
背の高すぎるおじいちゃんて、目立つよな。と思いつつ、
予想通り、クリームパンを2個買って、ニコニコして帰られた。

間に合ってよかった。たいていは朝7時から15分の間に焼けますが、
たまに遅くなるときがあり、そのときは焼けるまでお待ちになるので、わたしは恐縮します。

あんパンやメロンパンを足されるときもありますが、クリームパン2個は定番です。
遅れているときは、「焼き立てのクリームパンは、もうすぐですかな?」 とお聞きになる。
なぜ「焼き立て」なのか、疑問になる。
わたしには、クリームパンの焼き立てに苦い思い出があったのだ。

パン屋で働き始めた頃で、遠い昔のこと。
窯担当のときにクリームパンが焼けたあと、クリームがはみ出しているのを発見。
パンの後ろが薄皮になっていて、こぼれていたのだ。
先輩の「これはもう売り物にならないな」という声に反応した。
「捨てるようなら、朝食として食べたいのでほしいです」 先輩は快く承諾した。

朝食は普段、店の商品から好きなものを食べるシステムなので、
捨てる予定のパンなら、店側としても大助かりである。
この職場では、担当する仕事の空き時間に自由に朝食を取って良かった。
先輩が振り返ったのを見届けた。今、少し時間がある。
このクリームパンをすぐに食べたい。「焼き立て」である。今だ。
がぶっ!……熱いっ!!
口の中を火傷して薄い皮がめくれて、半泣きになった。
焼き立てのパンは、おいしいはずでは? これは焼き立て過ぎるか!?
いくらなんでも、熱いクリームを口に中にいきなり放り込むのが良くなかった。
ヒリヒリする火傷とともに反省と学習であった。

あの御老人は、なぜ、焼き立てのクリームパンを希望するのか?
歩いて帰って家に着き、すぐに食べるにしても火傷をするほど熱くはなく、
食べられるほどには、冷めているだろう。
しかも、クリームパンは、ある程度冷めた方がおいしいはず。
味は落ち着いて、しっかりクリームパンを味わうことができる。
家に帰って、時間をおいて食べるなら、あの時間帯にわざわざ買いに来ることはない。
いつも「焼き立て」のクリームパンを欲しているように見える。

ある朝、いつものようにクリームパンの焼き立てをお店に出した。
女の子、二人組みが「うわ~、焼き立てのクリームパンだ。おいしそうやね」
ニッコリしながら、トレーに乗せた。

そうなんだ。「焼き立てのクリームパン」なんだ。
お客様にとって、「焼き立て」のパンは特別な想いがある。
焼き立てのパンはおいしい。
確かに焼き立てのパンはおいしいがすべてではない。
しかし、そんなことは関係ない。すべての焼き立てのパンは感動を生む。

あの御老人は、「焼き立て」のクリームを見て、感動したことがあったのだ。
その感動が、焼き立てのクリームパンを買い続ける理由ではないか、と思う。

 

 

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