手間がかかるパン 伝説の幻のパン

◎ エッセイ

 

○ パン  04/13/2017

手間がかかるパン


フランス人のミッシェルさんは、新しいパンの開発をしました。
それがもう、手間がかかりまくりなのです。
みんな言いました。「う~ん、それって手間がかかり過ぎてませんか?」
ミッシェルさんはにっこりと微笑み、「手間がかかってこそ、パンだよ」
ハッとして、うなずきました。
パン作りは手間がかかるものです。それを恐れてはおいしいパンはできない。
作っているときに、おいしいパンになあれ。と愛情と情熱を込めます。
その思いがずっと続くパンとなり、おいしくなります。
修行時代の良い思い出より。(画像は「カメロン」)

あるとき、パン屋の経営者たちが集まる会合で、
手間はかかるけど、おいしい新しいパン紹介をしました。
やっぱりというべきか、みんな手間がかかることに難色を示しています。

気持ちはすごくわかります。ただでさえ、パン作りの長時間労働に苦しんでいます。
身体的負担のかかることを新たに始めるのは辛いことで、
おいしいとわかっていても、手間がかかるパンはなかなか作りにくい。

いざ、作り始めると、慣れてきて段取りのなかにきちんとおさまってしまえば、意外とできるものです。
みんな難色を示すということは、ライバルになるパン屋でも作りづらいことになり、
その店の独自のパンとして、売れてしまえば強力な武器になります。
誰かそのことに納得してもらえないだろうか。

ところがそんな気持ちを逆なでするように、ひとりの人は言いました。
「このパンは手間がかかり過ぎる。作るパンはどこで手を抜くのか、そこがポイントだ」
「そうですか……」
このままではいけない。仲間として言っておかなくはならない。
「手間がかかってこそ、パンではないですか?」
「それを言っちゃぁ、ミもフタもないわ」 ハハハっ
思わず、蹴り上げたくなりました。
こんなパン屋に負けたくない。
がんばるぞっ。

 

○ その他  04/13/2017

伝説の幻のパン

 

そのパンは伝説の幻のパンとして知られている。
存在の確認が難しいとして、言い伝えられているパン。

そのパンが宣伝文句として、セール中!
今だけだよー。今逃すと二度と食べられないよー。
さぁさぁさぁ、おいしいよ。なんといっても幻だよ。伝説なんだよ。
なんでやねん。

週に一度しか開店していないパン屋、予約いっぱいで店頭では買えないパン。
なかなか手に入らないパンとして、価値はあるかな。
我がパン屋でも、1日1個だけ限定のパンはあります。
ただ、売れないだけで減らした結果ですが。

当店でも「幻のパン」はあります。
金曜日だけで、1本(3斤)だけ作る「クランベリー食パン」1斤300円です。
詳しい説明もなく、置いているだけで、
知っている方はすぐ買われていきますが、スルーされることも多い。
すごく美味しいうえに値段は材料費のわりに安めで、遊び心で作っているだけです。

伝説や幻は、商業的になってしまうと、すでに伝説や幻でないような気がする。
その時点ですでに現実味があるから。希少価値でないとないといけない。
って、これを書いている時点で、クランベリー食パンが宣伝になっている。恥ずかしい。
ということで、クランベリー食パンはもう作りません。
(ご愛好いただいてたお客様には申し訳ありません)
これで、本当に伝説の幻のパンとなったか。
いやでも、オーナーの気まぐれで、それはそれで良くないことですけども。

よく考えてみれば、週に一回だけ開店するパン屋はもっと開ければ良いし、
予約でいっぱいのパンなら、もっと作れや!ってこと。
もちろんお店の事情ですけど、それだけで幻や伝説と言われたら、少し違うような気がする。

 

 

 

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