異色のコラボレーション 無塩パン

◎ エッセイ

 

○ パン屋経営者・パン職人(人) 07/02/2017

異色のコラ ボレーション


パン、洋菓子、和菓子のコラボレーションがあります。
代表的なものは「いちご大福」です。
今では当たり前のように冬場の和菓子店で見受けられますが、
初めて登場したとき、昭和の終わり頃ですが、見たこともない驚きと共に
あまりのおいしさで、2度びっくりとして大きな話題となりました。
現在では、多くの和菓子店で取り入れ、冬場の名物としてスタンダードとなっています。

異色のコラボレーションとしては、昔からいくつかあります。
「シベリア」は、昭和以前からあったもので、
ようかん、または、あんをカステラで挟んでサンドイッチ状になったものです。
当時、「子供達が食べたいお菓子No.1」にもなったほどです。
パン屋では、デニュシュ生地のシート上にクリームを塗って、カステラ(スポンジケーキ)を置き、
巻いたものを切ってという成形のバリエーションのものは昔からありました。

パン、洋菓子、和菓子は、親戚のような関係ですが、
私は新しい分野からのコラボレーションはないかと考えました。
それは中華料理です。
餃子、焼売はみんな好きじゃないか。早速取り入れて作りました。
餃子は、スーパーに珉珉の餃子があり、焼売も100円あれば、数個セットで売っています。
餃子パン、焼売パンは売れなかった。
数年前のことで、これらのパンの画像はありません。どういう成形だったのかも思い出せません。
パン屋の黒歴史として抹消したかったような気がする。

大阪名物のひとつとして、たこ焼きがあります。
これをそのまま使ったパンが良いのではないか。
生地の中に包み込むのは悪くないけど平凡です。
ひねりを加えて、カレーパンの中にたこ焼きを入れることにしました。
冷凍たこ焼きを買ってきて、試作してみると何か足りない。
たこ焼きにはソースが付いています。ソースがないとたこ焼きの味が出ません。
生地にカレーを包むときにたこ焼きを入れて、その上に濃口ソースをかけて包むという
高度な包あん技術を駆使して完成しました。
カレーの量、たこ焼きの大きさ、ソースの量も調節しました。
名前は「カレーパンinたこ焼き」
お客さんは、初見で誰もがびっくりしていました。笑いも起こりました。
そこそこおいしかったです。

まぁ、そこそこが限界でした。はっきりいって、カレーとたこ焼きは合わない。
いくら調節しても、すごくおいしいにはならない。
1ヶ月で作るのを止めました。
作るのに手間がかかる、すごくおいしいわけではない。
なんだか恥ずかしくなってきたのが原因です。

 

○ パン 07/02/2017

無塩パン

 

「無塩パンて、作る必要あるんかな。パンは塩が入ってないとおいしくないやろうし。
塩を無くすんやったら、別の料理でもええんと違う?」
会話のはずみで、販売の女の子に言って、ムッとさせてしまった。
栄養管理師の免許を持ち、以前、病院で食事のメニューを考える仕事をしていたのだ。
「そうは言いますけど、少しでも塩を取りたくない人はいるんですよ。
味はともかく、無塩パンで喜んで食べてもらったら、いいじゃないですか」
「そうやなぁ」
言葉を濁して終えるしかなかった。
無塩パンは食べたことはないが想像はできる。
おいしいとはいい難いものの無塩パンは必要とされて開発されたのであろう。

そのことが気になったわけでないが、数日後、パン作りに大失敗があった。
生地のときから違和感があったが、焼成後、試食してすぐにわかった。
塩を入れ忘れて、無塩食パンを偶然、作ってしまったのである。
販売の女の子に食べてもらった。
「食べてみぃ」 食パン6枚切りの一部を手渡す。
「まずいですね。先日、言ってた無塩パンの試作品ですか?」 はっきり言う女の子だ。

塩の入っていないパンは、味に締りはなく、味のなくなったガムみたい。
ただ口の中で噛んでいるだけである。大阪弁でいうと、スカみたいになパンだ。
「あじけないほど、味気ないやろ」
「……」 女の子は黙ってしまった。
「塩、振って食べられへんかな」
「ゆで卵じゃないんですから」
「キムチとか乗せて食べたら、合うんと違う? 塩分控えめになるし」
「食パンがまずいのは変わりませんし、塩分を気にしてキムチ食べませんよ」
うきぃ。正式な無塩パンのレシピを取り寄せて、見返してやりたい。

 

 

 

 

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