仕込みの基本 ミキシングの段階

◎ 作業工程

○ 仕込み 06/06/2017  改訂 2019年5月25日

仕込みの基本

 仕込みは、パン生地を作る工程です。
材料をミキサーに入れて、ミキシングして生地を完成させることです。

 ミキシングの目的は、大きく分けて3つあります。
1、材料を均一に分散させる
2、生地に適度な弾力性、伸展性を与える(グルテン組織の形成
3、生地に空気の混入

 グルテン組織の形成は、捏ねていくほど、弾力性、伸展性のある生地となります。空気の混入は、イーストの働きに必要なものです。

ミキシング時間は、生地の種類や製法、材料によっても、時間は変わってきます。よく捏ねる生地とあまり捏ねない生地があるのです。

 出来上がった生地は、生地温度を調べておきます。捏ね上げ温度といいます。
のちの発酵速度に影響するので必ず、メモしておくこと。
レシピには、理想の捏ね上げ温度があるので、その温度になるように仕込むときの水の温度(水温)で調節します。

 ミキシングの途中、摩擦により生地温度は必ず上がります。高速にするほど、上がりやすくなります。水の温度は、このことも念頭においておきます。(ミキシング時間の長い生地は、より低く設定しておくことになる)

 室温、湿度、仕込み水の温度によっても、仕込み時間は影響されるので、毎日、同じ生地を作っていても、ミキシング時間が多少変わることは、よくあります。最終的には、自分の感覚が頼りということになります。

 仕込み(生地作り)は、製パンにとって重要な作業のひとつです。どんな生地を作るかによって、のちの作業工程は変わってきますし、パンそのものの出来栄えになります。パン作りの中で最も重要であり、奥が深いです。

○ 仕込み 06/06/2017 改訂 2019年5月25日

ミキシングの段階

 ミキシングの段階は、6段階に分けることができます。

第一段階 つかみ取り(Pick up stage) 粉と水などの材料がざっと混ざった状態
第二段階 水切れ(Clean up stage) 水が小麦粉などに吸収され、ひとつの塊となる。
生地片はミキサーのふちに付着しなくなる。
グルテン組織が形成される少し手前。
第三段階 結合(Development stage) グルテンの結合、水和が進む。
粘着性は少なくなり、伸展性、弾力性が出てくる。
縦型ミキサーの底から生地が離れだす。
第四段階 最終段階(Final stage) 生地は弾力があり、一部を手により、伸ばすと薄く、滑らかになる。
生地に乾きが見られる。
第五段階 麩切れ(Let down stage)  生地は再び、湿った状態になり、粘着性も出て、伸展性は過剰となる。
第六段階 破壊(Break down stage) 生地はいっそう粘着質になり、弾力性は失い、
パン生地として成立しない。

 第四段階のパン生地が最適なミキシングだということがわかります。
その生地状態を把握して、的確な判断できるようにします。捏ね不足は、アンダーミキシング、捏ね過ぎをオーバーミキシングと言います。

 注意点として、第四段階の幅は材料などによって、幅の長さが変わります。また、幅の長さの中でも、生地の種類などによって、「ここ」というタイミングがあります。すべてのパン生地が、第四段階で同じ幅、タイミングではないということです。

最適なミキシング
出来上がったパンが美味しいパンとなったとき、配合、計量、作業工程など全てうまくいったときです。では、いまいちだったときは何が問題だったのかは難しい。原因を探ってみてもたくさんあり、様々な要素が絡んでいるからです。
原因が明らかにミキシングに問題があったとしましょう。

ミキシングのし過ぎ(オーバーミキシング)は、発酵が早い。パンが膨らみ過ぎる。ケービングを起こしやすい。内相が粗い、大小、不均一。味が薄い。風味が劣る。
ミシング不足(アンダーミキシング)は、発酵が遅い。パンが小さい。固い。内相が細かい。

 最適なミキシングの見極めは難しい。まぁ、範囲で考えれば、そう難しいものではなく、ピンポイントでこのタイミングで最も最適なタイミングなのだ! と突き詰めて考えて、自分で難しく考えているだけになるんですけどね。
なお、最適なタイミングからのズレは上記のような影響になります。

 最適なタイミングは、ミキシング段階のの第四(最終段階)に集約されます。その範囲の中で、どのタイミングによるかは生地によって違い、以下になります。
◯パンの種類による
グリッシーニは、イタリアのサクっとした食感のスティック状の細長いパンです。これは柔らかさを求められていません。また、ピタなどもそうですね。ミキシングは短めになります。
◯製法による
フランスパンの長時間の発酵製法があります。発酵時間で、グルテン組織が形成していく(繋がっていくという表現をします)ため、ミキシング時間を短めにします。
◯材料による
基本的に小麦粉以外の材料が多く入るほど、長くなります。グルテン組織の形成が遅れるからです。ミキシングは長めで、グルテン組織をしっかり形成する必要があります。(一部の材料、塩のように生地を引き締める効果があるものは逆に短くなります)
◯その他、事情による
デニッシュ類は、工程途中の油脂を挟むのがグルテン組織形成の一部となっているため、ミキシング時間は短めになります。また、ヨーロッパタイプのデニッシュは特に短くなっています。
食パン生地やバターロール生地の場合、好みで最適なタイミングの範囲内で長めにすることはあります。パンを大きく、柔らかくしたいときです。

[最適なタイミングとは]
ミキシングの最適なタイミングは、美味しいパンができたとき、逆算的なことになります。
第四段階(最終段階)の長い生地ほど、作りやすい。長くする材料(砂糖、砂糖、卵、油脂など)が適度に入っていれば、長くなります。
また、ミキシングは、小麦粉の種類に大きく関わっています。強力粉のように強ければ、強いミキシングに耐えられます。薄力粉は、耐えられずにグルテン組織が切れてしまいます。全粒粉なども薄力粉と同じように弱い部類になります。

 昔は、「美味しいパンの秘訣のひとつは、低ミキシングだ。強いミキシングにって、小麦粉本来の味と風味は損なわれる」と言われていました。確かに一理ありますが、主にハード系のことを指します。ハード系は小麦粉を食べるようなものですからね。副材料が多い生地は、しっかり捏ねないと生地として成立しません。

 ミキシング時間は、「L(低速)→材料を混ぜる H(高速)→捏ねる」です。
ミキシングの「捏ねる」により、グルテン組織を形成させていきますが、もちろん「混ぜる」でも形成されます。ただ、時間がかかるし、不充分になりがちです。
ミキシングのアドバイスで、L(低速)やH(高速)の時間に関する質問がありますが、答えるのは非常に難しい。ミキサーの種類や使用材料や量など、様々な要素によって、かなり変わってくるからです。最適なミキシングは、一度作ってみて、パンの出来栄えによって変えるのが望ましい。自分のあらゆる環境は、他人にとって、その場所にいないとわからないものです。

 ミキシングに関しては、ミキサーと関係が深いので、ミキサー(業務用)とミキサー(家庭用)をお読みになるのをお薦めします。

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