乳製品を入れないパン 新しい窯

◎ パンの知識

 

○ パン経営者・パン職人(人) 06/27/2017

乳製品を入れないパン

 

パン屋の経営者たちが集まる会合でのことです。
「お客さんから、乳製品が入っていないパンはどれになりますか?
って、聞かれてんけど、脱脂粉乳が入っていないパンなんてない。
ありませんねん、としか答えられへんかった。
最近、アレルギー体質の人も増えてきたから、
思い切って、食パン生地に脱脂粉乳入れんで、作ろうかなと思うてる」

脱脂粉乳は、キメを細かくする、発酵を安定させるなど、地味だけど生地に良い影響を与える。
入れなくても作ることはできるが、いざ、入れないとなると、ためらうものだ。
それでも乳製品のアレルギーの人のことを思えば、入れないこともありうる。
はたして乳製品を入れないパンを作るのか。

「いや、○○さんのところのパン屋は、コンパウンドマーガリンで食パン生地を作ってるやん。
コンパウンドマーガリンは、バターが入ってるから、あかんやん」
「なんで、バターがあかんの? 油脂やんか」
いや、いや、バターは乳製品でもありますからー。

「じゃぁ、普通のマーガリンとしよう。それでもあかんぞっ」
「なんで?」
「マーガリンには、乳化剤が入っとるがな!」
うりゃー、なんで乳化剤が乳製品やねん。漢字が一文字同じだけやー。

ボケなのか、本当に知らないのか、酔っぱらいながら、
わけのわからない会話が続くのであった。

 

○ パン屋経営者・パン職人(人) 06/27/2017

新しい窯

 

パン屋の経営者たちが集まる会合に参加していたときのことです。
南さんは、ビールをあおり、ほろ酔い気分の真っ赤な顔をしながら話している。
「新しい窯(オーブン)を前に買ったけどな、それからどうも調子がおかしい」
「調子とは?」
「まぁ、店の売り上げが落ちたんや」
「新しい窯を買ったのが原因で?」
「それしか、考えられへん」

窯を買いたい話は、1年ほど前の話題のひとつであった。
どんな窯が良いのか皆に相談していたのだ。
「どうせなら、石窯みたいな性能の高い窯が良いと思う」
確かに皆は、口々にそんなことを言っていた。

南さんは40代後半の人。
独立して購入した窯は、中古で焼きムラが激しくクセが強くてあまり良い窯ではなかった。
まだ先があるのだし、買えどきは今が良いのではないか。
本人はそう思ったのだし、皆が賛成するのは妥当で、
推薦するなら良い窯にするのも当然といえば、当然だろう。
それぞれ良い窯とはなんたるかを話にして、
南さんはうなずきながら、じっくり聞いていた。

インターネットでも更に調べていたようだし、
購入した窯は、誰もが知っていて納得するものだった。
それがまさか売り上げが落ちて、原因が窯だとは誰もが思ってもみなかった。
まさか、そんなはずは。と言いかけても現実なのである。
景気の状況で、皆のパン屋はとくに急に売り上げが落ちたということはない。
南さんの店でも変わったことといえば、窯だけなのである。

私は数日後、窯のメーカーに電話をした。
幸いにして気安く話ができて丁寧に教えてくれる人を知っている。
窯のことを詳しく聞きたかった。(「製菓に詳しい人」を参照)

私なりに考えた結論を先に言おう。「焼き過ぎ」である。
南さんは、フランスパンがうまく焼ける石窯にしたが、
保温性、保湿性が高く、遠赤外線の効果で火通りがよく、
前の窯と同じように焼くと、パンはパサパサになってしまう。
もちろん温度、時間の調節はしただろう。
しかし、結果としてパンが良くなかったら、調節したことにならない。

南さんに確認すると、やはりそういうことで改めて調節をするとのこと。
窯は性能うんぬんより、使いこなすことの方が大切だと痛感した。
南さんは、なぜ、このことに気付かなったのだろう。
新しい窯になれば、その窯に合わせるのは当然です。
それを本人に確認するわけにもいかず、その疑問だけが後に残されたのでした。

 

 

 

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